個人事業主の開業時に活用できる『 創業融資 』

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個人事業主の開業時に活用できる『 創業融資 』

個人事業主の開業時に活用できる『 創業融資 』個人事業主として新たに創業・開業する場合は、運転資金として事務所・店舗の初期費用や家賃、人件費、商品・原材料の仕入原価など、設備資金として必要設備の購入費、店舗の内外装工事費、ホームページ制作費など、初期に多額の資金を必要とします。

これら全てを自己資金で賄って創業・開業しようとすると、自己資金の準備に長い年月を要していつまで経っても開業できず、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。

そのような個人事業主の方には『創業融資』の制度を活用した資金調達をお勧めします。

本記事では、個人事業主の創業融資制度について紹介していきます。


個人事業主の開業時に活用できる創業融資制度


個人事業主の開業時に活用できる創業融資制度は主に以下の三つがあります。

■日本政策金融公庫の創業融資「新規開業資金」
■都道府県など自治体の創業融資
■地域に密着した信用金庫・信用組合の創業融資

ここからは、それぞれの創業融資制度について解説していきます。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫の正式名称は株式会社日本政策金融公庫となり、一般の金融機関が行う金融を補完することを目的として、日本政策金融公庫法に基づいて設立された政策金融機関(政府系金融機関)です。

日本政策金融公庫は政府の予算を原資として様々な金融事業を行っていますが、新たな事業を始める方の資金需要への対応も主要な役割のひとつになっていますので、個人事業主の創業・開業資金の融資を積極的に実施しています。

個人事業主でも利用できる日本政策金融公庫の創業融資は『新規開業資金』という名称で、条件は以下の通りです。

日本政策金融公庫『新規開業資金』
対象者 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
用途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 設備資金:2,400万円、運転資金4,800万円、合計7,200万円
返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)
利率 基準利率(令和6年12月時点2.5%~3.7%)
※別途、基準利率から利率を引き下げる様々な要件有り

参照:日本政策金融公庫WEBサイト

都道府県など自治体の創業融資

各自治体が提供している創業融資は、自治体・信用保証協会・金融機関の三者が連携して実施する融資制度となり、実際の融資は連携している金融機関から受ける仕組みになっています。

内容や条件は自治体によって異なりますので、参考として東京都の創業融資制度を掲載します。

東京都の「創業融資」
対象者 都内に事業所(個人事業者は事業所又は住所)があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者で以下3点のいずれかに該当する方
・現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
・創業した日から5年未満である中小企業者等
・分社化しようとする会社又は分社化により設立された日から5年未満の会社
用途 新規の創業資金、創業後の事業資金
融資限度額 3,500万円
返済期間 設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
利率 1.5%~2.0%(固定金利の場合)
※別途、信用保証協会への信用保証料

参照:東京都産業労働局 東京都創業NET

地域に密着した信用金庫・信用組合の創業融資

信用金庫や信用組合は営業エリアが限定されており、営業エリア地域に住んでいる人や事業者に向けて金融サービスを提供しています。

営業エリア地域の人や事業者が主要取引先となるため、地域の発展に寄与する創業融資に積極的に取り組んでいる信用金庫や信用組合が多い状況です。

また、信用金庫や信用組合の創業融資は基本的に信用保証協会の保証付きになりますので、自治体の創業融資と同様、金利とは別に信用保証協会への信用保証料がかかります。

融資限度額や返済期間などの要件は金融機関ごと多岐に渡りますので、詳細は創業・開業される地域の信用金庫や信用組合へ直接お問い合わせください。


個人事業主におすすめの創業融資


個人事業主におすすめの創業融資三つの創業融資をご紹介しましたが、その中でどの創業融資を利用すればよいでしょうか?

創業融資てづくり専門支援センターはそれぞれの創業融資サポートに対応しておりますが、個人事業主として創業・開業される方は、日本政策金融公庫の創業融資『新規開業資金』の利用が多い状況となっているため、まずは日本政策金融公庫の創業融資から検討するのがよいと考えています。

日本政策金融公庫の創業融資活用が多い背景

日本政策金融公庫の創業融資活用が多いのは以下のような背景からとなっています。

■無担保、無保証で利用することができる
■信用保証協会などが関与しておらず、日本政策金融公庫のみで融資を判断するため、他の創業融資と比べて比較的短期間で融資を受けることができる
■返済期間や据置期間(元金の返済が猶予され金利分のみ返済する期間)が長期間である

以上のように、日本政策金融公庫はその他の機関の融資と比較して、開業時に利用しやすい制度設計になっています。

日本政策金融公庫のデメリットとして挙がる利率

日本政策金融公庫はデメリットとして「基準利率のため他と比較して利率が若干高い」という点が挙がることがあります。

日本政策金融公庫の利率については、基準利率がベースとなっているためそのような認識を持たれることもありますが、現在の創業融資『新規開業資金』では、以下のような制度を活用することにより利率の引き下げが可能となっています。

■新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象として、利率を一律0.65%引き下げる「創業支援貸付利率特例制度」
■融資後に利益率や雇用に関する一定の目標を達成した場合に利率を0.2%引き下げる「創業後目標達成型金利」の制度
■次の要件に該当する場合は、基準利率から引き下げた特別利率が適用される制度

<特別利率要件>
1. 女性の方、35歳未満または55歳以上の方
2. 外国人起業活動促進事業における特定外国人起業家の方で新たに事業を始める方
3. 創業塾や創業セミナーなど(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受けて新たに事業を始める方
4. 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用しているまたは適用する予定の方であって、自ら事業計画書の策定を行い、認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、中小企業診断士など)による指導および助言を受けている方
5. 地域おこし協力隊の任期を終了した方であって、地域おこし協力隊として活動した地域において新たに事業を始める方
6. Uターン等により地方で新たに事業を始める方
7. デジタル田園都市国家構想交付金(旧:地方創生推進交付金を含む。)を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める方
8. デジタル田園都市国家構想交付金(旧:地方創生推進交付金を含む。)を活用した起業支援金および移住支援金の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める方
9. 日本ベンチャーキャピタル協会の会員(賛助会員を除く。)等または中小企業基盤整備機構もしくは産業革新投資機構が出資する投資事業有限責任組合等から出資を受けている方(見込まれる方を含む。)
10. 技術・ノウハウ等に新規性がみられる方
※参照:日本政策金融公庫WEBサイト

これから個人事業主として創業・開業される方が適用できる制度も含まれており、これらを最大限活用することで利率を引き下げて創業融資を受けることが可能になっています。


日本政策金融公庫の創業融資手続きの流れ


個人事業主として創業・開業する方に向けた日本政策金融公庫の創業融資『新規開業資金』の手続きは以下の流れとなり、申込はインターネットでの手続きになります。

1. インターネット申込
申込に際して、以下書類の準備・提出が必要となります。

・創業計画書および関連書類
・運転免許証(両面)またはパスポート
・確定申告書一式(事業開始後まだ確定申告を迎えていない方は不要)
・見積書(設備資金の申込の場合)
・生活衛生関係の事業を営む方は、都道府県知事の「推せん書」または生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」
・許認可証(飲食店などの許可・届出等が必要な事業を営んでいる方)

2. 日本政策金融公庫担当者と面談
申込後、日本政策金融公庫の担当者との面談が行われますので、自信を持って創業計画書の内容や開業の想いを伝えましょう。

・資金の使いみちや事業計画などについて
・店舗や事業所の予定地などについて
・創業計画書に関連する資料や資産/負債がわかる書類の追加提出が必要な場合はそちらについて

3. 日本政策金融公庫による審査
創業計画書や面談内容を踏まえ、さまざまな角度から審査・検討して融資が判断されます。

4. 融資決定
融資が決定した後は、融資契約に必要な手続きが案内され、契約手続き完了後に融資金が金融機関の口座へ送金されます。


個人事業主が創業融資を受けるためのポイント


個人事業主が創業融資を受けるためのポイント日本政策金融公庫の創業融資『新規開業資金』は前述の通り、新たに創業・開業される方に向けた制度のため、無保証・無担保で積極的に融資を実行してくれますが、誰でもいくらでも融資を受けられるわけではありません。

ここからは創業融資を受けるためのポイントを解説します。

根拠・計画性・実現可能性のある創業計画書を作成する

創業計画書は融資に先立って作成し提出する必要のある書類となりますが、融資を受けるうえで創業計画書の内容は非常に重要となります。

個人事業主として開業する動機や目的、開業までの経歴・経験、取得資格・スキルなど基本となる事実情報から始まり、開業する事業はどのような内容か、ターゲットや取扱商品、価格、セールスポイントなどからどのような販売戦略を展開していくか、などの計画を具体的に記載する必要があります。

例えば、開業前に同業界を経験していて必要となる資格やスキルを活かして個人事業主として開業する場合は、業界経験やスキルを活かせることで事業が成功する可能性も高くなりますが、逆に未経験業界での開業や根拠に乏しく現実的ではない計画だった場合は、開業後に事業が成功する見通しが極端に低くなりますので、融資を受ける難易度はかなり高くなってしまうと言えます。

さらに、従業員や販売先・仕入先などの予定の記載も必要で、それらを含めた必要資金の内訳や資金調達状況、収益見通しなども作成することになります。

この収益見通しも、運転資金やキャッシュフローの根拠、売上や原価の根拠など、現実的な積算根拠に基づいて算出した数字が求められます。

創業計画書の作成はご自身でも可能ではありますが、作成には非常に多くの時間を要し、難易度は高くポイントを押さえた内容が求められているものですので、当創業融資てづくり専門支援センターのような、創業融資サポートを提供している経験と実績のある専門家に作成を依頼するのが融資を受けるための近道になっています。

融資額は自己資金の3~4倍程度

創業融資の要件として融資限度額などは定められていますが、限度額いっぱいまで融資を受けられるわけではありません。

融資を受けることができる金額は、概ね自己資金の3倍~4倍程度を目安として、創業計画書や収支計画の内容とともに、自己資金との兼ね合いも考慮した融資額で申し込むことも融資を受けるための重要なポイントです。

これは、当創業融資てづくり専門支援センターで創業融資のサポートをさせていただいた事業者様の融資実績とともに、日本政策金融公庫の『2024年度新規開業実態調査』の結果から目安としています。
『2024年度新規開業実態調査』によると、2024年の開業時の資金調達額合計は平均1,197万円、内訳として自己資金の平均額293万円、金融機関からの融資等の平均額が780万円という状況で、平均調達額に占める自己資金の割合は24.5%という結果になっていることから、融資を受けられる金額は自己資金の3倍~4倍程度が現実的なラインと考えています。

個人の信用情報はキレイにしておく

日本政策金融公庫は、融資審査において信用情報機関の情報も見ていると考えられます。

信用情報機関とは、金融機関、クレジットカード会社、信販会社、リース会社、販売会社、携帯会社などの貸金業法や割賦販売法に規定された業務を行う企業が会員となっている情報機関です。

会員企業は貸付情報や返済履歴、延滞履歴など自社の取引情報の登録が義務付けられるかわりに、他会員企業の登録した情報を照会する事ができるという仕組みになっており、日本政策金融公庫は株式会社シー・アイ・シーに加盟している会員企業です。

また、信用情報機関は一部の情報を信用情報機関間で連携しているため、日本政策金融公庫は、全国銀行個人信用情報センターと株式会社日本信用情報機構に登録されている信用情報の一部も照会する可能性があります。

上述の通り、信用情報を照会することによって借入総額や支払い、返済すべき金額を予定通り支払っているか、延滞履歴があるかなどを把握できるため、融資した資金をちゃんと返済する人物であるかの参考として利用されますので、普段からクレジットカードやローン、分割払いなどの支払いはちゃんと行い、返済実績を積み上げることが大切です。

もし、信用情報に不安がある場合は、各信用情報機関に情報の開示請求を行って自分の信用情報を確認することもできます。


まとめ


今回の記事では、個人事業主として新たに創業・開業する場合に活用できる創業融資について解説しました。

開業段階は、まだ事業実績がなくこれから多くの資金を要するタイミングですので、通常の借入ではなく、創業・開業する方に向けた創業融資制度の活用が最適となり、活用事例が多いのは日本政策金融公庫の創業融資『新規開業資金』です。

創業融資てづくり専門支援センターでは、これまで500件以上の創業融資サポート・創業計画書・事業計画書の作成実績があり、その経験とノウハウを背景に、成功報酬なしの固定料金にて対応させていただいておりますので、創業融資に興味があったり、資金調達や開業資金に悩まれている方は、お気軽にお問い合わせください。

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