独立して創業・起業しようとする場合、まずは多くの資金が必要となるため創業融資の活用を考える方は多いですが、「創業融資は借金ありでも利用できるの?」「借金は審査に影響ある?」という疑問や不安を持つ方もいると思います。
創業融資は、基本的に借金ありでも利用できることが大半ですが、借金の目的や状況によっても影響が変わってきます。
本記事では、創業融資は借金ありでも利用できるのか、借金はどのような影響があるのか、申告の必要性などについて解説していきます。
創業融資はその名の通り、新たに起業・創業する方の資金需要を解決するための融資制度です。
金融機関の通常の融資は、決算書などからこれまでの収益状況や資金繰りを判断して、担保や保証人なども設定したうえで実行するケースがほとんどです。
一方で、創業融資はこれから起業・創業することを目的とした資金調達制度であるため、決算書や事業実績がないタイミングでの利用が通常であり、主に創業の準備や創業した後の計画を基に判断されます。
創業融資は、「日本政策金融公庫」「都道府県などの自治体」「地域に密着した信用金庫や信用組合」などが提供しており条件は様々ですが、まず検討対象になるのは日本政策金融公庫の創業融資です。
日本政策金融公庫の創業融資は、担保や保証人が原則不要で「無担保・無保証」にて利用することができ、限度額や返済期間なども他の創業融資より優遇されているなど利用者が多い状況のため、ここからは日本政策金融公庫の創業融資を想定した解説を中心に進めていきます。
まず、「借金ありだと創業融資は申し込みできない」という門前払いの状況はありません。
申し込む融資額は、根拠を以て積み上げて算出した必要資金と手元資金を集計して、創業のために不足している金額となり、以下の計算式で算出されます。
創業のために不足している金額 = ① - (②+③+④)
①創業に最低限必要な資金(設備資金+運転資金)
②自己資金
③親、兄弟、知人、友人等からの借入額
④他の金融機関等からの借入額
このように、自己資金以外に借入(借金)ありでも創業融資の利用は可能です。
ただし、その借金の目的や状況によって創業融資の審査への影響は変わってきます。
※自己資金の詳細は、こちらの記事もご覧ください。
<自己資金なしで創業融資を受けることはできるのか解説!>
まずは創業する事業のために、親兄弟などの親族や、日本政策金融公庫以外の金融機関からも並行して融資を受ける(受けている)場合です。
これは事業のための借金となりますので、創業融資の審査への影響は少ないと言えますが、日本政策金融公庫から受けられる融資額には影響が出てきます。
この借入額は、前述の「③親、兄弟、知人、友人等からの借入額」または「④他の金融機関等からの借入額」に加算することになりますので、創業のために不足している金額=日本政策金融公庫からの融資額は減少します。
次に、一般的な目的に応じた借金、例えば以下のようなものです。
■住宅ローン
■カーローン
■医療、介護ローン
■教育、学資ローン
■奨学金
これらの私生活上で一般的な目的のための借金があること自体は、創業融資への影響は少ないと考えられます。
ただし、以下のようなケースだった場合は、審査上で不利な影響を及ぼす可能性が出てきます。
■合計した返済額が明らかに多すぎる場合
■過去にローンの返済が滞ったことがある場合
このような返済能力を超えていると判断されかねない状態だと、これ以上の借金は返済が難しいとみなされるなど、審査において不利な影響が出てしまう可能性があります。
最後に、目的を問わずお金を借りることができる、以下のような借金がある場合です。
■キャッシング、カードローン
■消費者金融からの借金
■借入と返済を繰り返している
これらは金額の大小にもよりますが、基本的に審査上は不利になります。
目的を問わない借金であるため、私生活の資金力不安と捉えられる可能性は高くなります。
また、創業融資は、新たに創業する事業に使用する目的で融資されるお金ですが、審査上、創業融資の借入額をこれらの借金返済にも使用されてしまうのではないかという懸念が生まれる可能性もあります。
もし、ここに該当するような借金がある場合は、全額返済してから創業融資を申し込むほうが融資審査に通りやすくなるでしょう。
創業融資の申し込みにあたっての借金の内容や金額は、「創業計画書」に記載することで申告します。
また、その後にある日本政策金融公庫の担当者との面談においても借金の有無を確認されることが多く、最低でも直近6か月分の通帳原本も提出しますので、通帳に記帳されている支払いや引き落とし先からも確認されます。
これらは表面上の内容となりますが、その後の審査においても「信用情報」を照会することで借金の状況などは全て把握できますので、借金については正直に申告するようにしましょう。
日本政策金融公庫の創業融資申し込みにおいては、信用情報機関を利用することの同意を求められます。
信用情報機関とは、銀行などの金融機関やクレジットカード会社、リース会社、信販会社、百貨店や車などの販売会社、携帯電話会社など、第三者にローンや分割払いなどを提供している企業が会員となって、情報を集約・活用している機関です。
会員企業は、ローンや分割払いを提供した個人の貸付情報や返済履歴、延滞履歴などの情報登録が義務付けられるかわりに、他の会員企業が登録している個人の情報を照会することができる仕組みになっています。
簡単に言うと会員企業は下記のように、他の会員企業が同じ人に組んでいるローンなどの状況を確認することができるという仕組みです。
・A社で住宅ローンを組んでいるXさんが、B社にマイカーローンを申し込む
↓
・B社は、審査の一環でXさんの信用情報を照会
↓
・B社は、XさんがA社で組んでいる住宅ローンの総額や返済状況などを確認
信用情報機関はいくつかありますが、その中で、日本政策金融公庫は「株式会社シー・アイ・シー」に加盟している会員企業です。
また、信用情報機関はFINE・CRIN・IDEAなどの、信用情報機関同士で情報の一部を連携する交流ネットワーク環境を整えており、日本政策金融公庫は、株式会社シー・アイ・シーの情報交流ネットワークによって「全国銀行個人信用情報センター」と「株式会社日本信用情報機構」に登録されている情報の一部も照会することが可能になっています。
これらの信用情報を照会することによって、申込人のほぼ全ての借金の内容や金額、返済が必要な残高のみならず、ちゃんと返済をしているか、延滞していないかなども把握できるため、創業計画書や面談で申告しなくても、借金を隠し通すことはできません。
もし、申告していない借金が後から発覚すると、その人が申告した情報が信用できないということになり、創業計画書全体の内容も説得力がなくなってしまうため、借金や借入の状況は全て正直に申告するようにしましょう。
本記事では、創業融資は借金ありでも利用できるのか、借金はどのような影響が出るのか、申告の必要性などについて解説しました。
創業融資は借金があると利用できないということはありませんが、その内容や状況によって審査に影響を及ぼすケースがありますので、これまでの私生活も含めた借金の影響が気になっている方の参考になれば幸いです。
創業においては多くの必要資金が課題になることが多く、創業融資はそんな創業時の資金需要を解決するための制度ですので、借金ありの影響も把握したうえで、積極的に活用していただければと思います。
創業融資てづくり専門支援センターでは、これまで500件以上の創業融資サポート・創業計画書・事業計画書の作成実績があり、その経験とノウハウを背景に、成功報酬%なしの固定料金にて対応させていただいておりますので、創業融資に興味があったり、資金調達や開業資金に悩まれている方は、お気軽にお問い合わせください。
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