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美容室の創業・開業を目指す方にとって資金調達は大きな課題の一つです。
店舗の取得費用や必要な設備や機材の購入費、当面の運転資金など、創業・開業段階はまとまった資金が必要となりますが、その全額を自己資金で賄うことは多くの人にとって簡単ではありません。
そんな時に役立つのが、日本政策金融公庫の創業融資制度です。
創業融資は、特に新たに事業を開始する方に向けて設計されており、低金利で長期間の返済が可能な点が大きな特徴です。
この記事では、美容室の創業・開業を考えている方々に向けて、日本政策金融公庫の創業融資について解説していきます。
日本政策金融公庫は、政府系金融機関として様々な資金需要に対しての融資を実行しています。
創業・開業段階の方または開業後間もない方の資金需要に対しては、低金利・長期返済で創業融資制度を提供しているため、日本政策金融公庫の融資は創業時における有効な資金調達手段です。
■新規開業・スタートアップ支援資金(新規開業資金):無担保・無保証人で借りられる創業融資
■生活衛生新企業育成資金:飲食業・理容業・美容業などの生活衛生関係営業者向けの融資制度
どちらも利用できる対象者は、これから事業を開始する方または事業開始後おおむね7年以内の方です。
美容室の開業時に創業融資を利用する場合は「創業計画書」を求められます。
創業計画書は、しっかりとした準備と情報整理を行い、整合性と実現可能性ある内容であることが大切ですので、以下のポイントを押さえて、効果的な創業計画書を作成しましょう。
※美容業界についてはこちらの記事もご覧ください。
<美容院 : 業種別のビジネスプランと起業ポイント>
創業の動機には、美容室を開業する目的や理由を記入しますが、単純な動機にとどまらず、自分がこれまで培ってきた経験や強みもアピールすることが大切です。
また、創業・開業に向けての準備状況や支援者からの協力、経営方針、立地選定の理由についても記載しておくと良いでしょう。
日本政策金融公庫に事業が成功するイメージが伝わるよう、自分の業界経験が豊富であること、すでに見込み客や固定客がいること、物件の特性などを十分に盛り込んでおきましょう。
申し込み後に行われる面談では、「マネジメント経験」「固定客数」「同業で成功している事例」など、さらに詳しい質問がされることが予想されますので、さまざまな質問を想定して予め盛り込んでおくか回答を準備しておくと安心です。
専門学校の卒業年月日や勤務先、勤務年数などの基本情報だけでなく、勤務中に担当していた業務や必要スキル、役職、コンクールでの実績などがあればそれらも併せて記載しましょう。
これにより、自身の経験やスキルを具体的にアピールすることができます。
開業する美容室のメニューや価格、具体的なセールスポイント、販売戦略などを詳細に記載することが重要です。
また、ビジネスモデルの全体像を説明する際には、事業の流れや収益構造、提供する商品やサービスの特徴、ターゲット市場、競合との差別化ポイントなども記載したほうがよいでしょう。
取引先・取引関係等には、例えば、美容室で使用するヘアケア商品などの仕入れ先を記載します。
その取引先との関係性(知人の会社や前職の担当取引先など)があればそれらも併記することで、より説得力を持たせることができます。
仕入れ先が決まっていない場合は原価率や利益額についての見通しに具体性が欠けてしまうことになりますので、複数の仕入れ先候補から見積もりを取って、予め仕入れ先を決めておいたほうがよいでしょう。
また、美容室は一般消費者が顧客のため項目からはイメージしづらいですが、顧客についても取引先に含まれますので、ターゲットや集客根拠など可能な限り具体的な想定を記載しましょう。
必要な資金と調達方法の項目は非常に重要な項目です。
開業に必要な資金(設備資金・運転資金)の額とその調達方法を具体的に記載します。
設備資金に該当する金額については必ず見積書を取得し、見積先名と具体的な金額を記載しましょう。
運転資金についても曖昧な記載は避け、相場や見込みなど根拠をもって予測した金額を記載していきましょう。
また、融資審査において自己資金の割合は非常に重要なポイントとなりますので、調達方法の中に記載することになる自己資金はできるだけ多めに準備しておくようにしましょう。
事業の見通しは、月平均の「売上高」「売上原価」「必要経費」「利益」について、「創業当初」と「1年後または軌道に乗った後」の2種類を記載します。
ポイントとしては、各数字は客観的な根拠を基に算出すること、その計算式も記載して置くことです。
根拠なく楽観的な売上高や、相場と乖離した経費金額などを用いると、計画の説得力がなくなってしまうため、審査に悪い影響を及ぼす可能性も出てきます。
■美容師免許
当然ながら開業時点で美容師免許を持っている人が必要となり、創業者自身が美容師免許を持っている場合は、創業融資申し込みの際に美容師免許の提出を求められることがあります。
また、創業者自身が免許を持っていなくても、スタッフが免許を持っていれば営業することは可能です。
ただし、その場合は、創業融資において美容師経験をアピールできませんので、開業した美容室が成功するであろうと伝わるような別視点での業界経験やスキルなどを用意する必要がでてきます。
■管理美容師
開業する美容室に常時2名以上の美容師が勤務する場合は「管理美容師」を配置することが義務付けられていますので、そのような見通しの場合は、その点も人件費などの運転資金に考慮しておく必要があります。
開業時に美容師が1名だけであっても、今後の人員増員を視野に入れる場合は管理美容師の資格を持ったスタッフを雇用するか、経営者自身が美容師であれば、管理美容師の資格を取得しておくことが望ましいといえます。
■美容所開設届
美容室を開設する際には管轄の保健所に美容所開設届の提出を行い、検査を受ける必要がありますが、開設後に創業融資を申し込む場合は、検査済であることの書類提出が求められることがあります。
日本政策金融公庫の創業融資を申し込むためには、以下の条件を満たす必要があります。
■開業前または開業後おおむね7年以内であること
■創業計画書(事業計画書)を作成し、面談で説明できること
■公共料金やクレジットカード、ローンの支払い実績が良好であること
また、自己資金の有無や創業計画書の内容は、融資審査において重要なポイントとなります。
■新規開業・スタートアップ支援資金:設備資金は最大2,400万円、運転資金は最大4,800万円まで
■生活衛生新企業育成資金:設備資金は最大7億2,000万円、運転資金は5,700万円まで(振興計画認定組合の組合員の場合)
■設備資金:最長20年(据置期間最長5年以内)
■運転資金:最長10年(据置期間最長5年以内)
融資額や返済期間、利率などは、事業内容や申込者の状況によって異なるため、詳細については事前に日本政策金融公庫や専門家などに確認するようにしましょう。
日本政策金融公庫の創業融資を成功させるためには、しっかりとした準備が必要です。
■創業計画書(事業計画書)の作成
創業計画書では、まず開業の目的を明確にし、事業の方向性を示す必要があります。
次に、市場調査などに基づいて競合との差別化ポイントやターゲット顧客を具体的に説明し、開業する事業の強みを強調します。
さらに、売上や利益の見通しを詳細に示した収支計画を立てることで、事業運営の安定性や計画性を強めます。
このように、創業計画書を通じて開業する事業の実現可能性と持続的成長の基盤をしっかりと伝えることが大切です。
※創業計画書の詳細は、こちらの記事もご覧ください。
<創業計画書とは?日本政策金融公庫の創業計画書のポイントを解説>
■自己資金の準備
創業融資の審査では、開業に必要な資金の総額に対する自己資金の割合や、自己資金を貯めた履歴も重要な要素となります。
定期的に自己資金を積み立てていることは、計画的な資金管理の証となり、融資の審査で高く評価されやすくなります。
※自己資金の詳細は、こちらの記事もご覧ください。
<自己資金なしで創業融資を受けることはできるのか解説!>
■信用情報の管理
クレジットカード、ローンなどの支払いの滞納や遅延があると、融資審査にマイナスの影響が出てしまいます。
創業前から適切な支払い管理を心がけ、信用情報を良好に保つことが重要です。
創業融資は以下の手順で進めていきます。
1.必要書類の準備(創業計画書、資金計画書、自己資金の証明資料など)
2.申し込み
3.面談・審査
4.融資決定・契約手続き
5.融資実行
創業融資の申し込みから融資実行までは、通常1か月前後かかるため、開業スケジュールを考慮しながら準備を進めるようにしましょう。
※日本政策金融公庫の創業融資の流れ詳細は、こちらの記事もご覧ください。
<日本政策金融公庫の創業融資の流れを解説>
今回の記事は、美容室の開業を目指す方に向けて、日本政策金融公庫の創業融資制度について解説しました。
創業融資は、美容室の開業にあたって非常に頼りになる制度です。
創業計画書の作成、自己資金の準備など、融資を受けるためには、しっかりとした事前準備が大切です。
開業や創業時の資金調達に不安がある方は、日本政策金融公庫の無料相談を活用したり、創業融資サポートを提供している専門家のアドバイスを受けることが、成功への近道となります。
創業融資てづくり専門支援センターでは、これまで4,500件以上の創業融資サポート・創業計画書・事業計画書の作成実績があり、その豊富な経験とノウハウを活かして、着手金なしの完全成功報酬(一律固定)で対応させていただきます。
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