創業融資の申し込みにおいて、規約上で「信用情報」というものの利用に同意が求められますが、「信用情報が何なのかよくわからない」という方もいることと思います。
そこで今回は、信用情報の詳細や創業融資における影響などについて解説していきます。
信用情報とは、「クレジットカードやローンなどの契約や利用についての客観的な取引履歴を記録した情報」のことで、信用情報機関に情報が登録されます。
この情報には、氏名、住所といった個人を特定するための情報の他、クレジットやローンの取引状況、返済状況、残高情報などが登録されています。
信用情報に含まれる主な内容としては、以下のようなものが挙げられます。
■個人情報
基本的なプロフィール情報(氏名、生年月日、住所、電話番号、勤務先など)
■取引に関する情報
ローンやクレジットの契約内容(契約日、利用上限額、返済形式)、利用状況(利用額、返済記録など)
■返済・支払状況
返済が正常に行われているか、遅延の有無、過去の支払遅滞履歴や債務整理(自己破産、個人再生、任意整理など)の記録
信用情報機関にはローン契約やクレジットカードの利用状況など、貸金業法や割賦販売法などに基づいた取引の情報が登録されており、具体的な内容としては以下のような取引が対象となります。
■クレジットカード
■スマートフォン端末代金の分割払い
■目的別ローン(住宅ローン、教育ローン、車のローンなど)
■キャッシングやカードローン
■奨学金
信用情報機関に登録されるのはあくまで貸金業法や割賦販売法などに基づいた取引情報のため、以下のような内容は信用情報機関の登録対象にはなりません。
■税金
■社会保険料
■公共料金(電気代や水道代など)
■NHKの受信料
ただし、住民税や公共料金の支払いをクレジットカード決済にしている場合は、クレジットカードの利用実績として信用情報機関に登録されます。
創業融資の審査においては、信用情報機関に申込者の情報を照会するとともに、信用情報機関の登録対象ではない内容に関しても、通帳などから支払状況などを確認されます。
信用情報が登録される信用情報機関は以下の3つがあります。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
クレジット会社を主な会員とする信用情報機関です。クレジットカードやカードローンに関する情報が登録されています。
株式会社日本信用情報機構(JICC)
会員は貸金業法や割賦販売法に基づいて登録された事業者をはじめ、貸付業務を行う企業、信用保証会社、リース会社などで構成されており、消費者金融のローンに関する情報も保有しています。
全国銀行個人信用情報センター(全銀協)
奨学金や金融機関のローンなどに関する情報を登録し、銀行、各種金融機関、政府関係機関(これに類する機関も含む)、クレジットカード会社や保証会社などで構成されています。
ここまでで、信用情報の詳細について解説しましたが、実際の創業融資の審査においてはどこまで信用情報が確認されるのでしょうか。
この点に関しては信用情報機関を照会することで、直近5〜10年以内に契約・利用したクレジットカードやローンに関する詳細や返済実績は全て把捉できるとされています。
つまり、上記期間に発生した取引内容や支払状況などは、創業融資を申し込んだ金融機関も把握することができると考えられます。
そのため、常習的な支払いの遅れなどにより信用情報が悪いことが予め認識できている場合や、自己破産などの債務整理や任意整理の履歴がある場合は、その信用情報が消えるまで創業融資の申請を控えたり創業融資に頼らずに事業を進めるなど、ビジネスプランを再検討する必要があります。
創業融資の審査において信用情報が確認される理由は、「返済能力の有無を見極めるため」です。
創業前で事業実績が無い段階では、返済能力を有しているかどうかを判断する材料が限られているため、信用情報機関に登録されているこれまでの情報を通して「現在の返済必要な借金の状況」や「きちんと支払いや返済を実行している人物であるか」といった点を審査し、貸し出した資金がきちんと返済されるかを見定めているのです。
そのため、信用情報は創業計画書や自己資金、業界経験などと同じくらい審査において重視されています。
※借金の影響についてはこちらの記事もご覧ください。
<【借金あり】創業融資への影響や申告の必要性を解説>
「創業融資に申し込む前に信用情報を確認できる?」とお考えになる方もいるかと思います。
信用情報は、自分で各信用情報機関から取り寄せて確認することができます(いわゆる本人開示)。
開示方法には、インターネットを利用する方法(PDFなどで確認)と、書類の郵送による方法があります。
いずれの方法も手数料が必要ですが、インターネットの方が安価で、かつ迅速に確認できる傾向にあります。
各信用情報機関が保有する情報は異なるため、確認したい内容に応じてそれぞれの機関に情報開示を請求する必要があります。
本人開示の手続き詳細に関しては各信用情報機関のホームページをご参照ください。
信用情報機関には、永久的に情報が記録されるわけではなく、保存期間が定められており、通常は契約終了または完済日からから5年程度、事故情報(延滞など)は5〜7年程度保存されます。
ここからは信用情報に問題があった場合の対応などについて見ていきましょう。
支払いが長期間にわたって遅れていたり、債務整理や事故情報が登録されているなど、信用情報に問題あることが創業融資の審査で判明した場合は、創業融資は受けられるのでしょうか。
信用情報に問題がある場合は、残念ながら創業融資を受けられる可能性が限りなく低くなります。
前述のとおり、審査においては創業融資で貸し出した融資金が返済されるかを判断しており、信用情報に問題がある=過去に借金返済で問題が起こったということですので、信用できないと見なされるためです。
信用情報に問題があった場合の対処法としては以下のような事例があります。
■別の人を代表者にする
まず一つ目の対処法が、「信用情報に問題がある人とは別の人を代表者にする」というものです。
複数人で創業する場合は、信用情報に問題が無い人を代表者にすることでこの問題を解決できます。
ただし、創業融資は代表者のみではなく取締役となる人についても審査されるため、この方法を取る場合、信用情報に問題がある人は代表者のみではなく取締役になるのも控えた方が良いでしょう。
■補助金を活用する
信用情報に問題がある場合のもう一つの対処法が、「補助金の活用」です。
補助金の審査においては信用情報は確認されないため、創業融資以外の資金調達手段としておすすめの方法になります。
ただし、税金の支払い状況などについては納税証明書や確定申告書でチェックされることが多いので気を付けましょう。
なお、当センターのお客様の利用が多い補助金は以下となります。
■小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路の拡充や業務改善を目的とした取り組みをサポートする補助金制度です。
補助金額は通常枠で上限50万円(補助率2/3)と設定されていることから、例えば75万円の経費を使用した場合は50万円が補助され、実質の負担を25万円に抑えながら75万円分の成果を上げることができます。
近年、法令改正や最低賃金の引き上げ、インボイス制度などの対応が求められていることから、小規模事業者は販路拡大に充てる予算を十分に確保できない状況が続いています。
当補助金を活用することで、限られた予算でも販路拡大やデジタル化を進めていくことが可能になります。
※持続化補助金の詳細はこちらの記事もご覧ください。
<小規模事業者持続化補助金一般型>
■IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を目的に、業務効率の改善やデジタル化を支援するITツール(ソフトウェアやサービスなど)の導入をサポートする制度です。
補助対象となるのは事務局の審査を受け、事前に登録されたITツールのみとなっています。
また、申請はIT導入支援事業者(ITツールの販売を行うベンダー・サービス事業者)と連携して進める仕組みになっており、このIT導入支援事業者に関しても事務局にあらかじめ登録・審査された事業者を選ぶ必要があります。
※IT導入補助金は、会社設立初年度は申請できません。
各種補助金申請に関しても当センターでサポートすることが可能ですので、ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。
※別途、補助金情報サイトも運営していますので、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
<IT導入補助金の解説>
<持続化補助金の解説>
今回は、創業融資の審査において利用される信用情報について解説しました。
信用情報に問題があると創業融資の審査に通ることが難しくなりますので、日頃からローンやクレジットカードなどの支払いは遅れないように気をつけましょう。
創業融資てづくり専門支援センターでは、累計4,500件以上もの創業融資サポート・創業計画書・事業計画書の作成支援を提供しており、その圧倒的な実績と知識を活かして、着手金なしの完全成功報酬(一律固定)にて対応させていただくことが可能です。
創業融資のご利用を検討されている方や、創業計画書の作成を専門家にフォローしてほしいという方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
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