外国人が創業融資を利用する場合のポイント

ホーム > 創業融資・開業資金調達の最新情報 > 資金調達 > 外国人が創業融資を利用する場合のポイント

外国人が創業融資を利用する場合のポイント

<最終更新日> 

外国人が創業融資を利用する場合のポイント

創業融資は、外国人の方も利用できることをご存知でしょうか。

この記事では外国人の方が創業融資を利用する場合のポイントや、注意点などについて解説していきます。

創業融資・事業計画書作成のメール無料相談


外国人の方が使える創業融資とは?


創業融資にも様々な種類のものがありますが、外国人の方でも利用可能な創業融資制度としては以下のようなものが挙げられます。

日本政策金融公庫の創業融資

代表的な創業融資が日本政策金融公庫の提供する創業融資で、外国人の方はもちろん様々な創業者向けの融資制度が設けられています。

無担保・無保証で申し込めるだけではなく、民間金融機関の創業融資と比較すると審査基準が緩やかであるという点が大きな特徴です。

地方自治体の創業融資(制度融資)

都道府県や市区町村などの地方自治体が地元の中小企業事業を支援することを目的に実施している制度融資もあり、その中の一環として創業融資も提供されています。

この創業融資(制度融資)は地方自治体、信用保証協会、金融機関の三者が連携して資金支援を行っており、地域経済の活性化を目指していることから、その条件や支援の内容は地域ごとに異なります。

制度融資は利子補給制度や信用保証料の補助など、優遇措置が多岐にわたっているという特徴があります。

民間金融機関の創業融資

地方銀行や信用金庫、信用組合などの民間金融機関も創業融資を行っていますが、政府系金融機関である日本政策金融公庫に比べると審査のハードルは高い傾向にあります。

しかし、信用保証協会の保証が受ければ、創業段階であっても融資審査に通りやすくなる可能性があります。

また、日本政策金融公庫と民間金融機関が共同して融資を提供する「協調融資」も増えてきています。

協調融資の詳細については、以下の記事をご覧ください。
【創業融資】協調融資の詳細やメリット・デメリットを行政書士が解説


外国人の方が創業融資に申し込むための条件


前述のとおり、外国人の方も創業融資に申し込むことは可能ですが、いくつか条件があります。

ここでは、日本政策金融公庫の創業融資を例に、どのような条件があるのか見ていきましょう。

日本で事業経営するための在留資格を保持している

外国人の方が創業融資を受けるためには、日本で事業を経営することが認められている在留資格を保持している必要があります。

具体的には、下記のいずれかの在留資格を持つ方が対象となります。

●永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等
●経営・管理、高度専門職1号、高度専門職2号 

これは、これから創業する方も既に創業している方も必要な条件となります。

在留期限内に返済する

外国人の方が創業融資を受ける場合、基本的には在留期限内に返済することが原則になります。

これは、例えば創業融資に申し込みをした外国人の在留期限が終了して帰国することになった場合、日本の法律は適用範囲外となり貸し出した資金を返済してもらうことが難しくなるためです。

そのため、創業融資においては「期限内にきちんと返済が完了するか」といった点がチェックされ、在留期限までの長さが審査の結果に大きく影響します。

このことから、「経営・管理」ビザなどの期限付きの在留資格では、残りの期限内で返済可能な分の金額しか借りられなかったり、創業融資自体を受けられなかったりする可能性があります。

反対に、「永住者」や「高度専門職2号」など在留期限が無い資格を保持している方は、長期の返済も見込めるため、創業融資審査においてプラスに働く可能性があります。

そのため、外国人の方が日本の創業融資を利用して資金調達を行う場合は、永住権や高度専門職2号が有利とされることが多くなっています。

自己資金について

経営管理ビザ取得の審査では、親族からの借入金を資本金に含めることが認められる場合がありますが、創業融資の審査では借入分は資本金や自己資金にはカウントできません。

そのため、創業融資を受けるためには、融資希望額の約3分の1程度の自己資金が必要とされており、この自己資金が不足していると融資額が希望に満たない可能性があります。


外国人の方が創業融資を申し込むポイント


外国人の方が創業融資を申し込む場合には、押さえておきたいポイントがいくつかあります。

自己資金をしっかりと準備する

自己資金の有無やその金額は、国籍問わず創業融資の審査において重要なポイントになります。

自己資金をしっかりと準備できていることで創業に積極的であることや、計画性があることなどをアピールでき、結果として審査に通過する可能性が高まりますので、創業融資を利用したいと考えている場合は自己資金を事前に準備しておくようにしましょう。

日本の居住歴や創業する業種の実績をアピールする

一般的に、日本に3年以上居住した実績があると、「日本での生活能力がある」「事業を途中で放棄するリスクが少ない」と見なされやすく、創業融資の審査でプラスに評価される可能性があります。

また、創業する業種での経験がある場合も、事業を問題なく遂行できるノウハウやスキルがあると判断され、審査の通過率アップに期待できます。

そのため、一定の居住歴や事業実績がある場合はその旨をしっかりとアピールするようにしましょう。

日本語を可能な限り習得しておく

日本政策金融公庫の創業融資では必ず担当者との面談が行われますので、可能な限り日本語を習得しておくと安心です。

通訳が面談に同席できる場合もありますが、最低限の意思疎通は自分で出来るようにしておくことで審査において好影響を与える見込みが高まります。

特に創業計画書や事業計画書の内容を説明する際や、面談の担当者からの質問に答える時に、考えや意図を日本語かつ自力で表現できるとポジティブな評価に繋がる可能性が上がります。

信用情報や支払い実績に問題が無いようにする

日本政策金融公庫の創業融資審査では、申請者の信用情報を確認しクレジットカードや各種ローンの残額、支払い実績などを照会されます。

また、これ以外にも家賃や公共料金、税金などの支払い履歴も通帳などを通じて確認されるため、これまで支払いを何度も延滞していたり、債務整理などの事故情報を把握されたりした場合は、審査に通過する可能性が極めて低くなります。

外国人の方でも家賃を自分で支払ったり、クレジットカードを利用する方もいるかと思いますので、創業融資の利用を検討している場合には、支払いを滞らせないよう日頃から注意しておくことが重要です。

創業計画書・事業計画書を入念に作り上げる

創業計画書・事業計画書を入念に作り上げるのも大切なポイントになります。

事業のポテンシャルや資金使途に妥当性があるかを判断するための決め手の一つとして重きを置かれるのが創業計画書・事業計画書です。

何故日本で創業するのか、どのような商品・サービスを提供したいのか、またそれらがどういった価値を生み出せるのかを説明できるよう、計画書をしっかりと作り上げる必要があります。

また、収益に関する見通しや各種数値は、客観的な根拠に基づいて計算されていることが求められます。

専門家のサポート利用を検討する

ここまでお伝えしてきたとおり、創業融資の申し込みでは創業計画書・事業計画書を作成し、面談の対策もする必要がありますが、外国人の方が日本語でこれらの準備を行うのは負担が大きいと言えます。

そこでおすすめしたいのが、「創業融資の知識や経験に長けている専門家のサポートを利用する」という方法を取ることです。

専門家にサポートを依頼することで創業計画書・事業計画書の作成や、面談の準備を効率的に進めることが可能になりますので、専門家のサポートを受けることも検討してみてください。

創業融資・事業計画書作成のメール無料相談


外国人の方が使える創業融資以外の資金調達手段


創業融資に申し込んだものの、残念ながら審査に通過できなかった場合や、何かしらの理由で創業融資を使えない場合は、創業融資以外の資金調達手段もあります。

外国人の方が使える創業融資以外の資金調達手段としては以下のようなものが挙げられます。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、主にインターネットなどを通じて支援者から資金の提供をしてもらうシステムを言います。

資金提供を受けることのリターンとして、支援者に商品やサービスなどの分配を行わなければいけませんが、提供してもらった資金の返済は原則不要です。

クラウドファンディングは、計画が具体的に定まっていない段階の事業であっても人々の関心を集められるような内容であれば資金調達ができる可能性が高いため、創業時の資金調達に適した方法です。

ただし、訴求力が弱い商品やサービスでは支援が集まりにくいため、クラウドファンディングを成功に繋げるにはある程度広報・宣伝活動に注力する必要があります。

さらに、上記と併せて魅力的なリターンを用意したり、支援をしてくれた人の管理や業者との手続きなどもする必要があり、実施にあたっては多くの工数が生じる可能性がある点も留意するようにしましょう。

出資を募る

事業の展望などに共感した投資家から資金提供をしてもらうことも一つの手段です。

一般的には親族や知人などの近しい人から出資を募ることが多いですが、外国人創業者の場合は、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなど第三者の投資家から投資してもらうパターンもあります。

投資家からの出資は短期間で一定規模の資金を調達できるだけではなく、経営面でのナレッジなどを指導してもらえることもあるため、迅速に事業を拡大したい創業者にとっては有効な手段と言えます。

ただし、出資の場合は、資金を提供してもらう代わりに自社株式を出資金額に応じて投資家へ譲り渡すのが一般的です

この場合、出資割合によっては株主として投資家の影響力が強くなったり、取締役として経営への参加を希望することがあるなど、意思決定に関わる者が増える状況になることもあるため、自由度の高い経営をしたい場合は注意が必要です。

補助金

外国人の方でも利用できる資金調達手段として「補助金の活用」もあります。

補助金は目的や内容に応じて様々な種類がありますが、補助金対象の経費の一部を補助してもらえるため、返済の必要はない資金となります。

当センターがおすすめさせていただくことが多い補助金としては以下が挙げられます。

■小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務能率改善のための取り組みをサポートする補助金制度です。

補助金額は通常枠の場合で上限50万円、補助率は2/3と定められており、これは例えば75万円の経費を費やした場合は50万円の補助を受けられ、実際に支払う金額は25万円に収められるという意味になります。

この数年、小規模事業者は様々な制度変更(働き方改革や最低賃金の引き上げ、インボイス制度への対応など)に追われていることから、販路開拓に十分な予算を割く余裕が無い状況が続いています。

こういった状況でも当該補助金を活用することで、予算に制約がある中でも、販路拡大やデジタル化を進めることが可能となります。

※持続化補助金の詳細を知りたい方は、こちらの記事も確認ください。
<小規模事業者持続化補助金一般型>

■IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性を向上させるために、業務効率化やデジタル化等の促進を叶える ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入支援を目的とした補助金制度です。

IT導入補助金は申請にあたり以下のような決まりがあります。

●補助対象となるのは事前に事務局の審査を受け、登録されたITツールのみ
●申請はIT導入支援事業者(ITツールの販売を行うベンダー・サービス事業者)と連携して行わなければならず、このIT導入支援事業者も事務局の事前審査と登録が済んでいる業者の中から選ばなければならない
●会社設立初年度(初年度の納税前)は申請することができない。

上記のような規定がある一方で、IT導入補助金は他の補助金と比べると申請手順が簡潔で、各種手続きをIT導入支援事業者のフォローを受けながら進められるという長所もあります。

「業務のデジタル化や労働生産性向上を進めるにあたって、可能な限り自己負担を減らしたい」という方は、活用を検討してみてください。

※補助金情報サイトも別途運営しておりますので、詳細はこちらの記事もご覧ください。
<IT導入補助金の解説>
<持続化補助金の解説>


まとめ


今回は、外国人の方が創業融資を利用する場合のポイントや、注意点などを解説しました。

条件はいくつかあるものの、日本政策金融公庫の創業融資は外国人の方でも利用可能ですので、日本での創業を考えている外国人創業者の方はこれを機に利用を検討してみてください。

創業融資てづくり専門支援センターでは、創業融資申請や創業計画書・事業計画書作成で4,500件以上の支援を行ってきた実績とスキルをもとに、着手金不要・完全成功報酬制(一律固定料金)でのサービス提供を行っています。

創業融資に興味のある方はお気軽にご相談ください。

このエントリーをはてなブックマークに追加

0120-3981-52

偉大なる事業の現実化を、事業拡大に効率を。

創業融資・事業融資の資金調達セミナーを開催しています。日本政策金融公庫の担当者も登壇!

創業融資・事業融資の資金調達セミナーを開催しています。日本政策金融公庫の担当者も登壇!

当センター 代表 清田卓也が中小企業経営者向け新聞「日刊ケイザイ」に掲載されました。 拡大して見る
お問い合わせはこちら

東京本社
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
パレスビル5階

大阪支社
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町3-2-8
淀屋橋MIビル3階

TEL / 0120-3981-52
FAX / 03-4333-7567
営業時間 月~土 9:00~20:00
メール問い合わせ 24時間対応

創業融資てづくり専門支援センターの事務所概要 ABOUT OFFICE
清田卓也

創業融資てづくり専門支援センター長の行政書士清田卓也でございます。 当センターは親切、丁寧、誠実さをモットーに運営しております。 事業計画書の作り方から創業融資まで、起業家・経営者様のほんのちょっとした疑問にもご対応させていただいております。 お気軽にご連絡下さい。

挨拶を音声で聞く