<最終更新日>
創業融資の利用を検討している方の中には「日本政策金融公庫の創業融資で借り換えはできるのかな」「借り換えって聞いたことがあるけど、具体的にどういったものなんだろう」という点が気になっている方もいるかと思います。
そこで今回は、借り換えで日本政策金融公庫の創業融資は利用できるのか、その詳細について解説していきます。
借り換えとは、現在の借り入れよりも金利や返済期間などの条件が有利な融資を新たに受け、その資金により既存の借り入れを返済することを言います。
借り換えにより支払う利息が減ったり返済期間が長くなったりすることで、毎月の返済負担を軽減することが可能になります。
また、複数からの借入を一本化し、財務管理をしやすくしたい時などにも活用されますが、借り換えに対応しているかは各金融機関や融資制度の要件によりますので、利用の際は事前に申請要件などをよく確認することが大切です。
借り換えには、次のようなメリットがあります。
①元々の借入と比べて返済期間が延びたり、金利が下がったりするため、月々の返済負担を軽減することができる
②複数の借入をまとめることで返済や資金管理が簡素化できる
③新しい融資実績ができる
借り換えにはデメリットもあり、具体的には以下のようなものが挙げられます。
①月々の返済負担は減るものの、返済総額は変わらないもしくは増加することが多いため、将来的に追加融資を受けづらくなる恐れがある
②手数料などの費用が別途発生する
借り換えしたいと考えている場合、このような点を踏まえて検討する必要があります。
「民間の金融機関から既に融資を受けていて、日本政策金融公庫の創業融資で借り換えしたい」という相談を頂くことがありますが、結論としては、民間金融機関からの借り入れを、創業融資をはじめとした日本政策金融公庫の融資で借り換えることはできません。
これは、日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、民間金融機関の役割を補完する立場にありますが、その日本政策金融公庫が民間の金融機関からの借り入れを肩代わりしてしまうと、民間金融機関の利益を損なうことになるためです。
また、日本政策金融公庫の借入申込書には「原則として、他の金融機関の借入金のお借替えにはご利用いただけません。」と記載されており、民間金融機関をはじめ他の金融機関から日本政策金融公庫に借り換えを行うことはできない旨が明記されています。
もし借り換えで日本政策金融公庫の創業融資を利用したことが判明した場合、融資金額の全額返済を求められることもあります。
なお、日本政策金融公庫自体には借り換えに特化した融資は無く、「公庫融資借換特例制度」という例外的に借り換えを認めている制度はありますが、いずれにしても創業融資の場合は対象外となる旨も念頭に置くようにしましょう。
日本政策金融公庫の創業融資で借り換えはできませんが、借り換え以外の手段で資金調達する方法やキャッシュフローの改善を図る手段として代表的なものをいくつか解説します。
追加融資とは、既に受けている融資とは別に追加で融資を受けることを言います。
トータルの借入額は増加することになりますが、一度融資を受けた金融機関に対して申請すれば審査が比較的スムーズに進む傾向にあるというのが大きな強みです。
日本政策金融公庫の創業融資の場合も、追加融資を申請することは認められています。
また、民間の金融機関から創業融資を受けながら、追加融資として日本政策金融公庫から資金の借入をすることもできますので、資金調達やキャッシュフローの改善を行いたいという方は、追加融資を検討してみるのも良いでしょう。
追加融資についての詳細は、以下の記事もご覧ください。
<創業融資の後に追加融資を受けるためのポイントを行政書士が解説>
繰り上げ返済もキャッシュフローの改善につながる一つの手段です。
繰り上げ返済は、月々の返済とは別枠で一部または全額を返済することで返済期間を短くする方法です。
これにより、毎月の利息負担も軽減されるため最終的な返済総額を抑えることができます。
繰り上げ返済は所定の手続きや手数料が不要なケースも多いため、売上が好調な事業者の方には有効な選択肢の一つとなります。
一方で、金融機関側は本来支払ってもらえるはずだった利息分を受け取り損ねることになり、好ましく思われない可能性もあるため、利用に際しては金融機関との関係性を考慮しつつ判断することが大切です。
リスケジュールは返済期日や返済スケジュールを見直し、返済を後ろ倒しにすることを指します。
様々な事情で返済が難しくなった場合にキャッシュフローを一時的に改善する手段として利用され、返済期日が延長されるため当面の資金負担が軽減されるというメリットがあります。
また、金融機関側も貸し出した資金が回収不能になるよりは本来の期日に遅れてでも返済してもらった方が良いと考える傾向にあるため、事業再建の見込みがあればリスケジュールを認めてくれるケースは多くあります。
ただし、リスケジュールの打診に当たっては具体的な経営改善計画と返済プランの提出が求められることや、リスケジュールをすると新たな融資を受けられなくなる可能性が高くなる点に注意が必要です。
借り換え以外の資金調達手段として「補助金を活用する」というものもあります。
補助費用の用途は明確に定められていることが多いですが、例えば「新しい機械を導入したい」といった使途と補助金の目的が合致している場合は非常に有効な資金調達手段です。
補助金は費用の一部を補助してもらえる制度のため、返済は不要な資金であり、資金の自己負担を軽減できるため、キャッシュフローの改善への寄与などに期待できます。
補助金には数多くの種類がありますが、当センターのお客様が活用することが多い補助金制度としては以下のようなものが挙げられます。
■小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の新規顧客開拓や、業務を効率的に進めるための取り組みを支援することを目的とした補助金制度です。
補助額は通常枠のケースだと上限50万円(補助率2/3)と設定されており、例えば経費の総額が75万円だった場合、その内50万円が補助の対象となるため実質の自己負担額は25万円にまで軽減できるということになります。
昨今、法改正や最低賃金の上昇、インボイス制度への対応などで手一杯になってしまい、結果新規顧客開拓のための予算を十分に確保できないといった小規模事業者が一定数存在しています。
こういった状況でも、持続化補助金を活用することで予算が限られている小規模事業者の方も、新規顧客開拓や業務のデジタル化を図ることが可能になります。
※持続化補助金の詳細はこちらの記事もご覧ください。
<小規模事業者持続化補助金一般型>
■IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を推し進めるために、業務の効率改善やデジタル化に寄与する ITツール(ソフトウェア、サービス等)導入を支援することが目的の補助金制度です。
補助対象となるITツールは事務局からの審査を受け、あらかじめ登録されたもののみとなります。
また、申請はIT導入支援事業者(ITツールの販売を行うベンダー・サービス事業者)と共同で行うことが義務付けられており、このIT導入支援事業者に関しても事前に事務局の審査を経て、登録されている業者を選ばなければいけません。
IT導入補助金には2025年時点で5つの申請枠があり、それぞれ目的や要件は異なりますが全体で補助額は最大450万円、補助率は1/2~4/5と設定されています。
ただし、IT導入補助金は申請時に直近の納税証明書の提出が必須となるため、まだ一度も納税を行っていない事業者は申請することができない点に注意が必要です。
※別途、補助金の情報を解説するサイトも運営していますので、詳しくはこちらの記事もご確認ください。
<IT導入補助金の解説>
<持続化補助金の解説>
今回は、日本政策金融公庫の創業融資で借り換えはできるのか、その詳細について解説しました。
残念ながら日本政策金融公庫の創業融資で借り換えを行うことはできませんが、追加融資等であれば利用することも可能ですので、ご自身に合う資金調達方法を検討してください。
創業融資てづくり専門支援センターでは、これまで4,500件以上の創業融資支援・創業計画書・事業計画書の作成をサポートしてきた実績と知見を活かして、着手金なし且つ完全成功報酬(一律固定)にてサービス提供を実施しています。
「創業融資に申し込みたい」「創業計画書・事業計画書の作成を、専門家に手伝ってもらいたい」という方は、お気軽にご相談ください。
東京本社
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
パレスビル5階
大阪支社
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町3-2-8
淀屋橋MIビル3階
TEL / 0120-3981-52
FAX / 03-4333-7567
営業時間 月~土 9:00~20:00
メール問い合わせ 24時間対応
創業融資てづくり専門支援センター長の行政書士清田卓也でございます。
当センターは親切、丁寧、誠実さをモットーに運営しております。
事業計画書の作り方から創業融資まで、起業家・経営者様のほんのちょっとした疑問にもご対応させていただいております。
お気軽にご連絡下さい。