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一般社団法人を設立する際の資金調達で、創業融資を利用したいと考える方もいると思いますが、一般社団法人は創業融資を利用できるのでしょうか。
この記事では、一般社団法人は創業融資を利用できるのか、その詳細を解説していきます。
一般社団法人とは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立する非営利法人のことを言い、ここで言う非営利とは「事業で得た利益の分配をしない」という意味になります。
例えば、株式会社であればその利益を株主に分配することができるのに対し、一般社団法人では設立者や出資した人に利益を分配することは認められていません。
従業員に対して適正な給与を支払う分には差し支えありませんが、基本的に事業で得た利益は翌年度以降の事業活動に充当するのが一般社団法人の特徴です。
つまり一般社団法人の場合は、株式会社などのように株式を発行して資金を集めるということができないため、資金調達手段が自ずと制限されるという点を理解しておく必要があります。
結論から言うと一般社団法人は創業融資を利用することが可能です。
しかし、株式会社などに比べると審査のハードルが上がる傾向にあるという点に注意する必要があります。
これは、一般社団法人が非営利法人であることが関係しています。
金融機関は、貸し出した資金がきちんと返済される見込みがあるかを判断する際、事業に将来性や収益力があるかという点に重きを置いています。
しかし、一般社団法人は利益を生み出すことが事業活動の主目的ではないため、株式会社などの営利法人と比べると収益力という点では低くなるのが一般的です。
このため、返済に支障が出る恐れを金融機関から危惧され、一般社団法人の場合は創業融資を断られたり、もしくは審査に通過できたとしても希望融資金額から減額されるという傾向があります。
一般社団法人は営利法人と比べて創業融資を受けるハードルが高い傾向にありますが、その中でも日本政策金融公庫の創業融資は一般社団法人設立時でも比較的おすすめの制度であると言えます。
日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、民間金融機関などでは融資を受けるのが難しいような事業者にも支援を実施しているのが特徴です。
日本政策金融公庫は様々な融資を実施していますが、一般社団法人の方が利用できる主な創業融資制度としては、以下のようなものが挙げられます。
■新規開業・スタートアップ支援資金(新規開業資金)
原則無担保・無保証人で融資を受けることができる創業融資制度で、概要は次のようになっています。
対象者:新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間:設備資金は最長20年、運転資金は最長10年(どちらも据置期間は最長5年)
■ソーシャルビジネス支援資金
厳密に言うと創業融資とは別枠の制度になりますが、一般社団法人であればソーシャルビジネス支援資金という日本政策金融公庫の融資制度を創業期に利用できる場合があります。
この融資制度は社会的課題の解決を目指す事業者への支援を目的としており、概要は次のとおりです。
対象者:NPO法人の方か、NPO法人以外で「保育サービス事業、介護サービス事業等」もしくは「社会的課題の解決を目的とする事業」を営む方
融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間;設備資金は最長20年、運転資金は最長10年(どちらも据置期間は最長5年)
ソーシャルビジネス支援資金については、対象者は限られるものの該当する場合は事業内容と融資目的の親和性が高い制度ですので、利用条件に当てはまる方は申し込みを検討してください。
なお、自治体の制度融資や民間金融機関の創業融資などに関しては、一般社団法人は対象外となっていることが多いです。
ただし、全ての自治体や金融機関で利用できないとは限らないため、気になる方は法人所在地の自治体や金融機関のホームページを調べる、または窓口に問い合わせてみましょう。
一般社団法人で創業融資に申し込む場合、次のようなポイントを押さえることが重要です。
創業融資を受けるには、事業者の形態や業種を問わず創業計画書・事業計画書の作り込みが重要になります。
事業の計画や実現可能性、資金使途が適当かなどを判断するための材料として、日本政策金融公庫はもちろん各種金融機関は創業計画書・事業計画書を重要視しているためです。
特に、一般社団法人の場合は非営利目的かつ社会貢献を重視した事業内容であることを示しつつ、事業の持続可能性と採算性の両立をどのように図っていくか説明することが大切です。
そのため、事業を始める動機や理念、市場調査の結果などを整理し、一貫性や説得力のある創業計画書・事業計画書を作成するようにしましょう。
更に、上述のとおり一般社団法人は非営利目的での活動が主となることから、審査の際に「事業の収益モデルがわかりづらい」と担当者から思われる可能性がありますので、収益モデルやそれに基づいた収支計画、必要経費などの数値も具体的に記載するようにしましょう。
また、この際の数値は過去の統計や市場価格などきちんとした裏付けをもとに算出していることや、現実的な数値になっていることが求められます。
なお、創業する分野に従事した実績などがある場合は、事業の成功可能性が高いとプラスに評価してもらえる可能性がありますので、その旨も創業計画書・事業計画書に記載しておくようにしましょう。
創業融資の審査では、自己資金をどの程度用意できているかという点も極めて重要な要素です。
自己資金を多く用意できていることで「創業に向けての準備を堅実に行ってきた」と審査の際に評価される可能性が高くなるため、自己資金はできるだけ多く準備しておくことが大切です。
自己資金をどれくらい用意しておくべきかなど、詳細についてこちらの記事もご覧ください。
<自己資金なしで創業融資を受けることはできるのか解説>
創業融資の審査は、申し込んだ人全員が通過できるわけではないため、同時進行で他の資金調達手段も検討することが有効ですが、一般社団法人の場合、資金調達手段が限られているという点がネックになります。
しかし、一般社団法人も利用可能な資金調達手段の一つとして補助金の活用があり、その中で「IT導入補助金」がおすすめです。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を実現するために、業務効率化やデジタル化等に繋がるITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用を支援する補助金制度です。
IT導入補助金は申請にあたり次のような前提条件があります。
●事前に事務局からの審査を受け、登録されたITツールのみが補助対象となる
●IT導入支援事業者(ITツールの販売を行うベンダー・サービス事業者)と連携して申請作業を行わなければならず、IT導入支援事業者についても事務局の事前審査と登録が完了している業者を選ぶ必要がある
●会社設立初年度(初年度の納税前)は利用できない
上記のような前提条件があるものの、IT導入補助金は他の補助金と比較して申請手順がシンプルであり、IT導入支援事業者のフォローを受けながら諸手続きを進められるという利点もあります。
また、一般社団法人は補助金の申請対象外とされることも少なくない中で、IT導入補助金であれば一般社団法人も利用可能であるという点も大きなメリットと言えます。
「業務プロセスのデジタル化や労働生産性向上を図るためのITツールを導入するにあたって、自己負担をできるだけ減らしたい」という方は、IT導入補助金の活用をご一考ください。
※別途補助金情報サイトも運営しておりますので、詳細はこちらもご覧ください。
<IT導入補助金の解説>
本記事では、一般社団法人でも創業融資を受けることはできるのか、その詳細について解説しました。
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」をはじめ、一般社団法人でも利用できる創業融資はありますが、申し込みに際してはいくつか注意すべきポイントもあるため、利用を検討中の方は今回解説した内容を参照しながら準備を進めてください。
創業融資てづくり専門支援センターでは、創業融資申請や創業計画書・事業計画書作成を4,500件以上積み重ねた実績とノウハウをもとに、着手金不要・完全成功報酬制(一律固定料金)でサポートを提供しています。
創業融資に関心のある方は、どなた様もお気軽にご相談ください。
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