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これから事業を始める方にとって、最初に考えるのが開業時の資金の事ですよね。
お店の内装工事や必要設備の購入、自社ホームページ制作などの「設備資金」、仕入れ費用や家賃、人件費などの「運転資金」と事業をスタートするためには様々な費用がかかります。
この記事では『開業時の必要資金』について詳しく解説していきます。
設備資金とは、事業開始時に必要となる設備のための費用のことを指します。
資金計画の中でも大きな割合を占め、先行投資と呼ばれることもあります。
一度にまとまった金額が必要になる場合が多く、お店や事業の土台をつくるために欠かせない大切な費用です。
1.物件取得費
お店や事務所を借りるために必要な初期費用で、敷金・礼金、不動産仲介手数料、保証金などが含まれます。
保証金は事業用の物件を借りる際に、貸主に一時的に預けるお金で、敷金のようなものです。
万が一家賃が支払えなくなってしまった場合や、退去する際に必要となる原状回復費用などに充てられることがあります。
契約内容にもよりますが、基本的には問題がなければ退去時にその一部、または全額が返還されることがほとんどです。
しかし、はじめに大きな費用がかかるという点では、注意が必要です。
2.内装工事費
物件の取得後、自分のお店の空間や事務所に作り変えるための費用です。
壁紙や床材の張り替え、厨房設備の設置、レジカウンターの造作、照明など、目指す雰囲気を作ったり、機能性を整えるための費用がここに含まれます。
3. 設備導入費
事業で必要となる設備機器やシステムの導入にかかる費用です。
飲食店なら厨房設備や冷蔵庫、美容室ならシャンプー台や美容器具、ITサービスならサーバーや専用ソフトなどが該当します。
「これがないと事業が始められないもの」を導入するための費用となります。
4.什器備品費
テーブルや椅子、商品棚、レジスター、食器や清掃用具など、日々の業務に必要な道具一式にかかる費用です。
一つひとつは小さな金額でも、まとめると意外に大きな費用になることも多くあるため、リストアップして予算を組むことが重要です。
主な設備資金を挙げましたが、設備資金は夢を形にするための大切な投資です。
物件取得費、内装工事費、設備導入費、什器備品、保証金など、ひとつひとつ丁寧に計画を立てれば、理想のお店・事務所づくりの実現が近づきます。
運転資金とは、事業を継続していくために継続的に必要となる費用のことを指します。
具体的には、商品の仕入代金や従業員への給与、社会保険料、家賃、水道光熱費、広告宣伝費など、毎月発生する支出が該当します。
1.人件費
従業員の給与や賞与、社会保険料といった費用です。
特に開業したばかりの時期は、売上がすぐに安定しないことも考えられるため、運転資金として人件費分をしっかり確保しておくことで、安心して事業を継続することができます。
2.仕入代金
商品販売や材料を使う事業を行う場合の仕入れにかかる費用です。
飲食店なら食材や飲料類、雑貨屋なら販売する雑貨の仕入商品、ハンドメイド商品販売なら材料費などが該当します。
3.家賃
店舗や事務所を借りている場合は、毎月必ず発生する固定費です。
初期の保証金や礼金と違って、継続的に支払い続けるお金として運転資金に分類されます。
4,広告宣伝費
お客様にお店や会社、サービスなどを知ってもらうための費用です。
ホームページ運営費やSNS広告、チラシ作成、イベント出展費などが該当します。
5.消耗品費
文房具や清掃用具、日用品など日常的に使う消耗品類です。
金額は小さくても積み重なると意外と大きな費用となるので、予算に含めることを忘れないようにしてください。
なぜ運転資金が大切なのか、その理由は事業を続ける力になるからです。
開業直後は赤字が続くこともありますが、そんな時に運転資金が確保できていれば、焦らずに事業を育てることができますし、予期せぬ出費にも対応できます。
逆に、運転資金が不足すると事業の継続が困難になり、最悪の場合は廃業に追い込まれることも考えられます。
だからこそ、余裕を持った運転資金の準備が欠かせません。
運転資金を計画する際は、下記のポイントを念頭に置いて準備することで、安心して事業を進められるようになります。
●具体的に「何に・いつ・いくら」必要なのか洗い出す
●最低3か月分、できれば6か月分確保する
●設備資金と運転資金をきちんと分けて考える
初期の仕入れ費用は、店舗での販売やサービスを提供する際に欠かせないものを仕入れるための費用です。
初期の仕入れ費用も、お店をオープンさせてから商品を販売するために必要な「材料」や「商品」の準備費用なので、運転資金の一部として考えておくことが重要です。
例として、飲食店なら食材や飲料類、雑貨屋なら販売する商品、ものづくりをするなら材料などが挙げられます。
開業直後は、お客様がどれくらい来てくれるのか、どれくらい売れるのかを正確に予測するのは難しいものです。
そのような中で「商品が足りない」「材料がない」という状況になってしまっては、せっかくのお客様を逃してしまうかもしれません。
だからこそ、事前にある程度の仕入れをして、十分な準備を整えておけば、安心して事業をスタートすることができ、お客様にもスムーズに商品やサービスを提供できます。
実際には、どのくらいの仕入れ費用が必要になるのでしょうか。
まずは、提供する商品やサービスを具体的にイメージしてみましょう。
●どんな商品を扱うのか?(例:ハンドメイド雑貨、ITツール、飲食物など)
●どこから仕入れるのか?(例:問屋、メーカー、オンラインショップ、直接交渉など)
●一つあたりの仕入れ価格は?
●最初にどのくらいの量を用意しておくべきか?
こうしたポイントを一つずつ考え整理していくと、必要な仕入れ費用のイメージが見えてきます。
事業準備の段階でしっかり計画と見積もりを立てることが成功のカギとなります。
開業時の資金というと、お店の設備や商品の仕入れを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もちろんそれらも大切ですが、実は見落とされがちで、しかも非常に重要な資金があります。
それが「事業が黒字化するまでの費用」です。
お店をオープンしたりサービス提供を始めても、すぐに安定して売上が立つとは限りません。
事業が軌道に乗って、毎月の売上が月次コストを上回る黒字になるまでの間も、家賃・人件費・通信費・広告費といった経費は発生し続けます。
この売上が少ない時期に不足する分をカバーするための資金確保も非常に重要です。
実は「想定していなかった」「なんとなく曖昧にしていた」というケースを意外と多く耳にします。
中には、半年分あれば大丈夫だろうと根拠がないまま考えてしまう方もいますが、金融機関から融資を受ける場合などは、「なぜその金額が必要なのか?」という点を必ず確認されます。
事業が黒字化するまでにどのくらいの期間がかかる見通しなのか、その間の毎月の経費はどれくらいかかるのか、などを具体的に見積もることが大切です。
事業が黒字化するまでの必要経費も運転資金にしっかり組み込んでおけば、事業が安定するまで安心して経営に集中できます。
開業準備で欠かせないのが現実的で無理のない資金計画です。
勢いだけで事業を進めてしまうと、思わぬ資金不足で事業が続かなくなるリスクも出てきます。
現実的な資金計画を立てるためにも、開業資金をより具体的に考えることが重要です。
開業資金を具体的に考えられるようになると、それに合わせて資金計画や売上計画をより現実的に組み立てることができるようになります。
「起業してから何か月目で黒字化しなければいけないのか」が見えてくるため、資金計画・売上計画の妥当性の確認や不足資金の明確化が進み、当初想定していた経費を見直すきっかけにもつながります。
こうした作業を繰り返すことで、実際に必要となる資金が徐々に明らかになり、自己資金との差し引きによって、不足分の開業資金もより正確に把握できるようになります。
資金計画は、一度作成しただけで終わらせるのではなく、客観的な視点から再検討することも大切です。
見積もりが相場より高くないか、削減できる項目はないか、逆に見落としている必要経費がないかを確認し、検討し直すことで、より現実的で具体的な資金額を導き出すことができます。
事業を始めても、すぐに売上が順調に伸びるとは限りませんし、予測できない不測の事態が起こる可能性もあります。
そんなときに頼りになるのが「緊急予備資金」で、これはいわゆる“もしもの時のためのお金”のことです。
資金に余裕があれば、一時的にキャッシュフローが厳しくなっても、落ち着いて対応策を考えることができます。
もしもの事態ってどんなこと?と思われる方も多いかもしれませんが、例えば以下のような事態が該当します。
●売上不振
想定よりもお客様が来ない、商品が売れないなど、計画通りに売上が上がらない。
●機械の故障
高額な業務用機械が急に故障してしまい、修理費や買い替え費用がかかる。
●自然災害や社会情勢の変化
地震や台風、感染症の流行などで一時的に営業が困難になる。
●体調不良
創業者自身や従業員が病気やケガで一時的に働けなくなる。
万が一、「もしも」の事態が起きてしまい、運転資金だけで賄いきれなくなったら事業の継続が難しくなってしまう可能性も出てきます。
だからこそ、いざという時のために、「緊急予備資金」を運転資金の中に含めておくことは、事業を安心して継続していく上で重要です。
また、緊急予備資金をしっかりと準備しておくことは、事業のキャッシュフローを健全に保つ上でも非常に重要です。
たとえ帳簿上は黒字でも、実際に売上が入金されるまではある程度の期間を要することが多く、その間に手元の資金が乏しくなると、必要経費の支払いが滞ってしまいます。
「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これはまさに上記のような帳簿上は黒字だが売上の入金(キャッシュフロー)が滞って、手元にお金がなくなり倒産せざるを得ない状態のことを指します。
本記事では開業時に必要な資金について解説しました。
開業時には、設備資金や運転資金として多くの資金が必要となりますが、開業資金をより具体的に考えることで、現実的で無理のない資金計画を立てることができます。
余裕を持った準備とリスクへの備えが事業を安定して継続させるための力となり、結果として開業を成功へと導く重要な鍵となります。
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『 開業資金を計画する 』
① 日本政策金融公庫の融資
② 創業融資支援の成功報酬はないのでしょうか?
③ 1000万円程の創業融資を受ける事は可能でしょうか?
④ 開業計画書を考える4つの視点
⑤ 開業時は日本政策金融公庫と銀行どちらが融資を受けやすいのでしょうか?
① 起業する前に知っておきたい21の知識
② 新規事業を成功へと導く立ち上げ時に検討すべき8つの思考
③ 資金調達を計画する時に知っておきたい考え方
④ 事業計画作成において把握しておきたい必要ポイント
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